2023年6月8日、警察庁より道路交通法施行規則改正にあたり、これまで延期されていた「アルコール検知器を活用した酒気帯びの有無の確認等の義務に係る規定」が2023年12月1日より適用される予定であると発表されました。当コラムでは、改めて改正道路交通法が求めるアルコール検査の概要について、関連事項をまとめました。ぜひ運用にお役立てください。
【目次】
2022年中の飲酒運転による交通事故件数は2,167件で、そのうち、死亡事故件数は120件でした。飲酒運転の死亡事故率は、飲酒なし事故の約7.1倍(警察庁調べ)と極めて高く、飲酒運転による交通事故は死亡事故につながる危険性が高いことが分かります。 2021年6月、千葉県八街市においてトラック運転手の飲酒運転により、児童2名が亡くなり、3名が重傷を負うという痛ましい交通事故が発生しました。 事故を起こした車両はアルコール検査が義務付けられた貨物自動車運送事業法に基づく事業用自動車(緑ナンバー)を取得していない自家用車両(白ナンバー)であったことから、この事故を受け2022年の4月に道路交通法施行規則が改正され、白ナンバーの社用車を5台以上、または11人以上の定員の自動車を1台以上持つ事業所は、運転指導などを行う安全運転管理者の選任とアルコール検査が義務付けられることになりました。
アルコールチェック義務化とは、2022年4月施行の道路交通法の改正により「安全運転管理者のアルコールチェック業務が、白ナンバー事業者においても義務になったこと」です。白ナンバー事業者とは、事業用自動車以外の一般的な車両(白ナンバー車両)を事業利用する事業者のことで、法人企業であれば自社の荷物や人員を無償で運搬する車両の利用などが挙げられます。 2022年4月1日より施行された改正道路交通法施行規則では、安全運転管理者に対して、運転者の酒気帯びの有無(アルコールチェック)を目視で確認することが義務付けられました。 さらに、2023年12月1日からは、目視での酒気帯び確認に加え、アルコール検知器による確認も義務づけられます(予定)。
これまで、運送業などの事業用自動車を対象として義務化されていたアルコールチェックが、下記の条件に当てはまる場合にも適用されるようになります。
乗車定員が11人以上の自動車1台以上
または、
その他の自動車5台以上を業務で利用する事業所
注意していただきたいのは、「法人ごと」ではなく「事業所ごと」に業務で使用する車両数をカウントすることです。また、原動機付自転車を除く自動二輪車は1台を0.5台として計算します。
当てはまる事業所は、安全運転管理者を選任しなければなりません。
2022年4月1日から、以下の2点が義務付けられることになりました。
□ 運転前後に運転者の酒気帯びの有無を目視等で確認すること。
□ 確認の内容を記録し、その記録を1年間保管すること。
上記に加え、2023年12月1日から、以下の2点が義務付けられる予定です。
□ 運転前後の運転者の酒気帯びの有無をアルコール検知器で確認すること。
□ アルコール検知器を常時有効に保持すること。
運転前後の運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状況を目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて確認を行います。
① 対面での確認(原則) + アルコール検知器
② カメラ、モニター等 + 携帯型アルコール検知器
③ 携帯電話 + 携帯型アルコール検知器
アルコール検知器を利用していても、目視等での確認は必須だということに留意してください。
改正道路交通法では、一定台数以上の自動車を使用する事業所(乗車定員が11人以上の自動車1台以上または、その他の自動車5台以上を業務で利用する事業所)においては、「安全運転管理者」「副安全運転管理者」を選任して、安全運転管理業務を実施し、交通事故防止を図るとしています。
安全運転管理者は事業所ごとに1人選任し、副安全運転管理者は業務で利用する自動車の台数によって、選任する人数が異なります。
安全運転管理者並びに副安全運転管理者には、以下の経験が求められます。
選任基準を満たさなかった場合、5万円以下の罰金を課せられます。
安全運転管理者等を選任したときは、その日から15日以内に事業所を管轄する警察署に必要書類を提出しなければなりません。
ポイント① 【安全運転前後の確認】
運転前後の運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状況を目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて確認を行います。
運転者1名につき、2回の確認が必要です。
運転前:運転を含む業務の開始前または出勤時
運転後:運転を含む業務の終了後や退勤時
ポイント② 【目視等での確認とは?】
運転前後の運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状況を目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いて確認を行います。
「運転者の顔色」「呼気のにおい」「応答の声の調子」を確認しますが、状況に応じてやり方はいくつかあります。
① 対面での確認(原則) + アルコール検知器
② カメラ、モニター等 + 携帯型アルコール検知器
③ 携帯電話 + 携帯型アルコール検知器
アルコール検知器を利用していても、目視等での確認は必須だということに留意してください。
ポイント③ 【記録方法】
安全運転管理者は、以下のように確認の内容を記録し、およびその記録を1年間保存することが求められます。記録の様式は問われていませんが、事業所ごとに記録・保存する必要があります。
1.確認者名
2.運転者名
3.運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
4.確認の日時
5.確認の方法
(1)アルコール検知器の使用の有無
(2)対面でない場合は具体的方法
6.酒気帯びの有無
7.指示事項
8.その他必要な事項
ポイント④ 【アルコール検知器による検査】
酒気帯びの有無を音、色、数値等により確認できるものであれば、アルコール検知器の性能上の要件は問いません。また、アルコール検知器は、アルコールを検知すると原動機が始動できないようにする機能を有するものを含みます。
ポイント⑤ 【アルコール検知器は、常時有効に保持しなければなりません】
「常時有効に」とは、正常に作動し、故障がない状態で保持することを指します。
確認ポイントは以下の通りです。
□ 危機に損傷がないか
□ 電池切れでないか
□ 正常な呼気で反応が出ないか
□ アルコール成分を含んだ呼気に反応があるか
□ 使用回数制限を超えていないか
アルコールチェックを実施しなかったときの、直接的な罰則はありません。ただしアルコールチェックを怠り、酒気帯びの運転になっているときは道路交通法違反になり、運転者のみだけでなく使用者(安全運転管理者、その他自動車を直接管理する者など含む)に3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
安全運転管理者は、運転者が正常の判断で安全に運転できるように確認しなければなりません。アルコールチェックだけではなく、駐車違反、無免許運転、最高速度違反、過労運転などを容認または下命していると判断されたときは、運転者と同様の処分を受けます。
交通事故を起こした企業には、「刑事上の責任」「行政上の責任」「民事上の責任」「社会的責任」が問われ、大きな代償を支払います。しかも、コンプライアンスを「守ったうえで起きた事故」と「守らなかったときに起きた事故」では、その後の会社の信用度や評判において受ける打撃に大きな違いがあることは言うまでもないでしょう。
アルコール検知器の使用義務化に向けて、大きく分けて二つことを準備する必要があります。「アルコール検知器」と「運用ルール」の準備です。
アルコール検知器は検知方式や記録方式などの違いで、様々な種類があります。自社の運転者の人数や運転の形態に合わせて選択しましょう。
○形態による違い
大きく分けて「据え置きタイプ」と「ハンディタイプ」があります。
○検知方式による違い
アルコール検知器による検査は運転者1名につき、2回の確認が必要とされています(当日運転する人に限る)。
運転前:運転を含む業務の開始前または出勤時
運転後:運転を含む業務の終了後や退勤時
ただし、事業所発着が基本の事業所もあれば、営業マンが直行直帰することが常態化している事業もありますので、運用ルールは事業所ごとに違ってきます。
ポイントになるのは、
①全員がルールを理解し、実行する準備ができていること(例外を設けることは極力避けましょう)
②責任者(安全運転管理者)が誰であるのか、事業所内の全員が認知していること
③不正や確認忘れを防止するための対策をとること
④確認方法と記録管理の両面において、安全運転管理者にとっても運転者にとっても、極力負担がかからないやり方を採用すること
特に安全運転管理が有名無実化しないためにも、③と④は重要なポイントになります。業務を省力化しつつなりすましやデータの改ざんを防ぐためには、AI技術の活用やクラウド管理は欠かせないものになっています。
本記事ではアルコールチェック義務化の概要や安全運転管理者の業務についてまとめました。
弊社では顔認証AIでなりすましを防ぎ、かつ管理者の負担を限りなくゼロに近づけるアルコール検知AIクラウドシステム【AIZE Breath】を提供しております。事業所発着用の据え置き対応と直行直帰に対応したハンディタイプを取り揃え、すでに多くの事業者様にご利用いただいております。
下記からアルコールチェック義務化に関するお役立ち資料もダウンロードしていただけますので、ぜひご覧ください。
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