2024年7月20日(土)・21日(日)の両日に開催された「第16回UEC杯コンピュータ囲碁大会」(会場:電気通信大学、主催:電気通信大学エンターテイメントと認知科学研究ステーション、実行委員長:伊藤毅志)におきまして、株式会社トリプルアイズ(本社:東京都千代田区、代表取締役:山田 雄一郎、東京証券取引所グロース市場《証券コード:5026》、以下トリプルアイズ)の社員エンジニア・吉枝悟が優勝したことをお知らせします。
第16回目を迎える本大会には日本、韓国、台湾の強豪16チームが揃い、AIの技術を競いました。初日の予選を勝ち抜いた上位8チームが、2日目にAリーグ決勝に進出し、総当たりで対局。2日目の本戦はYouTubeでも生中継で配信されました。
Aリーグ優勝を遂げたのはトリプルアイズのエンジニア・吉枝悟の「Engawa」でした。予選・本戦を通して圧倒的な技術力の高さを見せ、6回目の出場で初優勝を勝ち取りました(前回2位)。また、同じくトリプルアイズのエンジニア・松崎憲介のプログラム「no-policy eg」に独創賞が与えられました。
【大会結果】プログラム名(チーム名)国名
Aリーグ
優勝 Engawa(吉枝 悟)日本
準優勝 Sayuri(林 宏澤)台湾
第3位 Ray(小林 祐樹)日本
新人賞 Sayuri(林 宏澤)台湾
独創賞 Nova(Sounman Hong)韓国
独創賞 Maru(武田 敦志)日本
独創賞 no-policy eg(松崎 憲介)日本
今年の特徴として、参加者が各々の創意工夫を凝らしたユニークなプログラムが増えたことが挙げられます。優勝したEngawa(吉枝 悟)はGLOBIS-AQZの棋譜をもとに年々バージョンアップを重ね安定的な強さを発揮しました。独創賞に選ばれた3つのプログラムは、新たな技術へのチャレンジが評価されたものです。韓国から2回目の出場となったNova(Sounman Hong)は、オープニングを最適に活用する方法をAIに学習させました。Maru(武田 敦志)は、ChatGPTでお馴染みのTransformerを組み合わせたモデルを構築しました。no-policy eg(松崎 憲介)は、モンテカルロ木探索で使用される着手確率から推定せずに目数から推定するプログラムに挑戦しました。いずれも囲碁AIの可能性を広げたことが評価されました。
対局後に技術者同士が技術談議をするシーンが印象的で、UEC杯が貴重な技術者相互のコミュニケーションの場としても機能していることを感じました。
Engawa開発者・吉枝 悟
「今はなきトリプルアイズ創業者である福原智の“めざせ世界一”の号令で始まったプロジェクトがようやく目的を果たすことができました。みなさんのご協力に感謝します。特に片渕博哉(トリプルアイズ技術本部執行役員)さんの尽力がなければ成し遂げられませんでした。ありがとうございました」
左:優勝した吉枝 悟、右:独創賞受賞の松崎憲介
コンピュータ囲碁大会は、2007年より電気通信大学「エンターテイメントと認知科学研究ステーション」主催により開催されてきましたが、2017年3月の第10回大会をもって一区切りとし、囲碁将棋チャンネル主催という形で、「AI竜星戦」が2017年、2018年に開催されました。その間のコンピュータ囲碁の動向を見ると、中国などでは毎年コンピュータ囲碁の大会が開催され、今なお人工知能研究のベンチマークとして機能し続けていることがわかります。コンピュータ囲碁はAI技術の限界や応用分野を考える上で、重要な研究テーマであると言えます。そこで、2019年より囲碁将棋チャンネルからバトンを受け継ぎ直し、電気通信大学エンターテイメントが再び主催となり、UEC杯コンピュータ囲碁大会を開催することとなりました。
大会ウェブサイト http://entcog.c.ooco.jp/entcog/new_uec/
2016年にGoogleが開発したAlphaGo(アルファ碁)が、プロ囲碁棋士を破って以降も囲碁AIは世界で進化を続けています。囲碁AIで得られた技術は、画像解析を中心にさまざまな分野に応用されています。今後も囲碁AIの研究や大会を通して、AI技術の底上げがなされていくことが期待されています。
トリプルアイズでは、2014年から囲碁AI開発を進めてきました。囲碁の19×19という盤上に展開される膨大な選択肢を前に、AI研究が問われるのは技術力であり、同時に技術の優劣は囲碁の勝敗にそのまま反映されます。トリプルアイズの画像認識プラットフォーム・AIZEも、囲碁AI研究でのディープラーニング技術によって生み出された成果です。
AIZE:https://aize.jp/
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