CASE STUDY - 事例

世田谷区様

大規模自治体で初、世田谷区がAI顔認証を勤怠管理に採用
人事課担当者に聞く自治体DXの実情

従業員の勤怠管理AIZE Biz

     

    「区民サービスの向上のために職員の働き方も効率化」

     

    ■勤務状態の「見える化」から働き方改革につなげる

     

    ――非常勤職員の働き方を把握することができるようになったことで、「働き方」の改善に繋げるような計画はありますか。

    中村氏 非常勤職員5,000人の全ての出勤簿が見られるようになったことで、具体的にどういう勤務形態になっているのか実態に即して把握できるようになりました。非常勤職員は、基本的に時間外勤務はないのですけれども、実態としてはどうなんだというところが見えるようになりました。今後の活用という意味では、そうした情報を分析して、任用のあり方を見直す方向に活かすことができると考えています。

     

    白石氏 民間企業では、一般事業主行動計画を策定されていると思うのですが、自治体にも同じように特定事業主行動計画があります。それに則って、休暇の取得の促進や勤務時間の適正化については、従前から取り組んでいるところです。計画を達成するにあたっては、客観的なデータの蓄積と分析が必要ですので、今回、データが一覧で把握できるようになったことで一層推進されていくと感じています。

     

    ――それは勤務状態の「見える化」が進んだということですか。

    白石氏 おっしゃる通りですね。これまで把握しきれていなかった部分にまで目が届くようになりましたので、よりいっそう、分析や計画を立てる部分で活用できるんじゃないかと思っています。

     

    ――区の職員の働き方を、デジタル化によって効率化できるようになると、区民にとってはどういうメリットがあるとお考えですか。

    鈴木氏 これまで管理業務に時間を取られていたとすると、そこが効率化されて縮減されれば、その分区民サービスに時間を割くことができると考えられます。さらに、働き方が適正化されていくことで、職員自身が働きやすさを感じて、モチベーションアップにもつながると思います。それによって、サービスのクオリティも上がっていくんじゃないかなと感じました。

    鈴木さん

     

    ――そのあたりの、働きやすさやモチベーションアップの感触は得られていますか。

    中村氏 AIZE導入の効果測定ということでは、現状ではそこまでの調査や分析にまでは至っていません。ただ、今まさにアジャイル開発ということで、機能をアップデートしてきていますので、それを積み重ねながら効果が出てくるのだろうと思います。職員の意識調査を行っておりますので、働きやすさとか、働き方がどう変わったかについて、今後、数値として現れてくる可能性もあるかなと思います。

     

     

    ■驚きだったアジャイル開発

     

    ――アジャイル開発というお話が出ましたけれど、機能のアップデートについて、どのように評価していらっしゃいますか。

    中村氏 これまで紙だったからこそ、こちらでも把握しきれなかったことが、今回、システムにより「見える化」されたことによって、人事課が考えていたことと現場のニーズの乖離が浮き彫りになってきました。現場のニーズをシステムに機能面でどう落とし込むかをご相談させていただいて、どんどんアップデートを重ねている状況です。

     

    ――現場とのギャップとは、具体的にどういうことだったのでしょうか。

    中村氏 たとえば入力項目のミスです。人事課としては当然こう入力してくれるだろうという項目に対して、現場で勘違いして全然違う情報を入れていたということがわかりました。その場合には、エラーアラートを出して弾くという機能を追加することで、コミュニケーションに齟齬がないようなシステムに仕上げていきました。

     

    ――トリプルアイズの開発も含めたサービスの質について、率直にお聞かせください。

    鈴木氏 slackでやり取りしているなかで、定例会で出てきた課題に対してリアクションがすぐにいただけるので、そこはすごいことだと思います。今までのベンダーさんの例では、持って帰って調査しますという反応が多かったので、そこが全然ちがうと感じています。あとは、無理かもしれないとダメもとでお願いした提案も、すんなり改修していただけて驚きました。

     

    白石氏 常勤職員の勤怠システムでは、いわゆる特別区用のパッケージソフトを使っているので、今回みたいにアジャイルで「ああしてほしい」、「こうしてほしい」とはなかなか言えないんですね。仮に言ったとしても、「よそからはそういう要望はないので」と、断られることが多かったんです。今回、追加で機能をつけてほしいとか、エラーメッセージ出してほしいとか、いろいろお願いしたことがたいてい実現したので、そこはけっこう衝撃的でした。

     

     

    ■区民サービスの向上のためにも効率化は必須

     

    ――自治体におけるDXの進め方について、これまでのやり方を変えるというのは、相当エネルギーのいることだと思うのですが、どのように乗り越えられてきましたか。

    中村氏 これはあくまで人事課の担当者としての視点ですが、区民サービスの向上はわれわれ職員の至上命題ですので、非効率なことはやめて効率化していくのは、当然取り組まなければいけないことだと思います。従前のやり方を踏襲することには安心感がありますが、よくよく見ると非効率な部分があるわけです。職員に対して、システム化するとこれだけ楽になるんだというところの理解を促すと同時に、スムーズに無理なく使えるという安心感も提供しながら、DXを進めていければと考えています。

     

     

    ■画像認識プラットフォーム・AIZEとは

    画像認識プラットフォーム・AIZEは、トリプルアイズが取り組んできた囲碁AIの研究から生まれた、ディープラーニングによる画像認識システムです。クラウドに画像データを送信し、ディープラーニングの手法でAIが解析します。年齢・性別・感情さえも認識できるAIエンジンを備え、その可能性は多岐にわたります。

    AIZE:https://aize.jp/

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